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アジア太平洋地域の昇給率は4年ぶりに上昇
ウイリス・タワーズワトソン昇給率調査より

~ 金融業が低調に推移する中、製薬・ヘルスサイエンス業界の報酬が上昇を維持 ~

2018年10月10日
| 日本

【プレスリリース / 東京】 2018年10月10日(水) -- 2018年のアジア太平洋地域の昇給率は、2014年以降初の前年比ベースで緩やかな上昇傾向が見られます。グローバルにアドバイザリー業務とブローカー業務、各種ソリューションを提供するリーディングカンパニー、ウイリス・タワーズワトソン(NASDAQ:WLTW)が実施した最新の昇給率調査レポート(2018年Q3 アジア太平洋地域版)では、アジアの17の国や地域における2018年平均昇給率を、2017年の5.6%に対し0.1%高い5.7%と予測しています。

今年のアジア太平洋地域の企業業績予測結果にもとづき、ウイリス・タワーズワトソンはこの緩やかな上昇傾向は2019年まで続くと見込んでいます。【図表1】 なお、2018年の業績については、調査に参加した企業の60%が前年度並みと回答しています。

【図表1】 アジア太平洋地域の平均昇給率(過去9年の比較)

アジア太平洋地域の平均昇給率

各社の回答の平均値でみると、昇給の予算枠のうち16.8%が全地域従業員数の12.8%を占めるトップパフォーマーへ割り当てられています。言い換えると、トップパフォーマー1人に対して、平均以下のパフォーマー1人の1.4倍の予算が割り当てられているということになります。

2019年の昇給率予測を2018年の実績と比較すると、0.4%増の中国を筆頭に、インドネシア・日本・マレーシア・韓国・タイなどの9カ国において上昇が予想されています。一方、オーストラリア・香港・インド・ニュージーランド・フィリピン・シンガポール・台湾・ベトナムにおいては大きな変化は想定されていません。【図表2】

【図表2】 2018年実績 vs. 2019年予測昇給率(%)-- 全業種

2018年実績 vs. 2019年予測昇給率(%)-- 全業種
  • 凍結を含む中央値
  • 出典:ウイリス・タワーズワトソン昇給率調査レポート - アジア太平洋地域版(201/年Q3)

安定した業績の見通しにもかかわらず、新たに人員を採用する予定がある企業の割合は、前年の39%から27%に減少しており、採用活動が向こう12ヶ月から24ヶ月の間、鈍化する可能性を示唆しています。

一方で、現在の人員を維持したいと考える企業は54%から66%へと増加しました。人員減を見込む企業の比率は7%と前年程度に留まっています。堅調な業績のもと、人員削減までは踏み込まずとも、自動化、アウトソーシング、および技術向上などによる業務の最適化を見据え、人員数を慎重に管理している各社の姿勢が透けて見えます。

さらに自己都合ベースの退職率は、ピーク時の平均15%から13.2%に減少しました。これは、各社が現有人材の再配置や能力開発を進めていることの表れであるとウイリス・タワーズワトソンではみています。

<< 金融業界の昇給率が低調に推移する中、製薬・ヘルスサイエンスは上昇傾向を維持 >>
製薬・ヘルスサイエンス業界の昇給率は、その業績の高い成長により、その他の業界よりも高い水準を維持しています。ヘルスケアの領域は、近年の中国と日本における政策改革( 「中国製造2025」(中国)、「未来投資戦略」(日本)など)や、バイオテクノロジーの発展とデジタルイノベーションにより加速度的な成長を遂げつつあります。その結果、2018年の製薬・ヘルスサイエンス業界の昇給率(中央値)は、全業種より0.2%高く、特にインドネシア(+0.9%)、中国(+0.5%)、インド(+0.3%)では大きな違いが見られました。

一方、アジア太平洋地域における金融業界の昇給率は、他業界より低調に推移しています。この業界は、フィンテックの発展に伴う競争激化や、ビジネス環境の継続的・構造的な変化に直面していることから、各企業のコスト管理に対する意識が高まっているといえるでしょう。その結果、2018年の金融業界の昇給率(中央値)は全業種に対して0.3%低い結果となりました。

<< 賃金の支払いは、公平性、透明性、柔軟性により注目する必要がある >>
ウイリス・タワーズワトソンによる現行報酬制度に関する最近の調査によると、アジア太平洋地域の半数近くの雇用主が賃金の「差別化」(=人材別のメリハリ)の強化や、個々の社員の成果を高めるために、報酬制度を効果的に利用していることがわかりました。しかしながら、61%の企業は、自社の予算枠によって、報酬戦略の策定や実行上の制約が生じていると認識しています。今日の逼迫した人材市場において、極めて重要でかつ需要がある高度専門人材は、市場平均の10%から25%も高い給与と、場合によっては固定給の1.5倍に達する賞与を支給されています。

この課題への対応の可否は、給与の透明性と公平性に対する従業員の強い期待と報酬戦略の方向性を結びつけられるかにかかっています。ウイリス・タワーズワトソン アジア太平洋地域 リワード部門マネージングディレクターのShai Ganuは、「雇用主は、透明性を模索する以前に、報酬制度において不可欠な要素である公平性を最優先に意識する必要があります。」と強調しました。現在、アジア太平洋地域において、ダイバーシティとインクルージョン(社会的一体性)に焦点を当てた報酬制度をもつ企業はわずか22%しかありません。またGanuは「自社で公正な報酬制度の導入を成功させるためには、『ファクトベースでの対応や説明ができるよう、客観的なデータを活用すること』、『トップマネジメント自らが関与し、制度導入や運用、社員への説明においてコミットメントを示すこと』の二つが重要である。」とも述べています。

ウイリス・タワーズワトソン リワード部門統括 ディレクターの森田純夫は、「日本においては、政府による賃金上昇の後押しの動きのなか、堅調な業績やAI・IT分野に代表される高度専門人材の需要の高まりを受けて、給与相場の地殻変動が起きつつあります。とりわけ顕著なのは、各社が賃金テーブルに基づく一律の運用を脱しつつあるという傾向で、契約社員などの雇用形態も活かしながら柔軟な意思決定をする企業は珍しくありません。こうした動きに伴い、給与の相場に一定の広がりが現れ始めています。厄介なのは、平均的な相場や各社の『テーブル』の分析からはこのような変化が読み取りにくいことです。人材の流動性が高まりつつあるマーケットにおいて優秀な人材を確保するためには、報酬水準の競争力を維持することが欠かせないのは言うまでもありませんが、その実効性を高めるうえで、自社の水準の多面的・客観的な検証がより重要になっているといえるでしょう。」 と指摘しています。

本調査について:

2018年 昇給調査レポート アジア太平洋地域版 (2018 Asia Pacific Salary Budget Planning Report) は、ウイリス・タワーズワトソンのデータサービス部門が年2回実施している調査の結果レポートです、幅広い産業セクターと、工場などの現場労働者から役員レベルまで給与の配分と動向について調査しています。この調査は2018年6月に実施されました。アジア太平洋地域における21業種3,769の回答より構成されています。最新の調査報告レポートについてはオンラインでご注文頂けます。

ウイリス・タワーズワトソンについて:

ウイリス・タワーズワトソン(NASDAQ:WLTW)は、企業に対するコンサルティング業務、保険のブローカー業務、各種ソリューションを提供する業務における、世界有数のグローバルカンパニーです。企業の持つリスクを成長の糧へと転じさせるべく、各国で支援を行っています。その歴史は1828年にまで遡り、現在は世界140以上の国と地域に40,000人を超える社員を擁しています。 私達はリスク管理、福利厚生、人材育成などの様々な分野で、企業の課題に必要な解決策を考案・提供し、企業の資本効率の改善や、組織と人材の一層の強化を図ります。また『人材』『資産』『事業構想』の密接な関係性を理解し、企業を業績向上へと導きます。 ウイリス・タワーズワトソンは、お客様と共に企業の可能性を追求して参ります。詳細は弊社ホームページをご覧ください。

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