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2017年の世界の年金資産額が過去最高を更新

世界の大手年金市場の年間増加率、過去最高に

2018年2月8日
| 日本
  • 調査対象国の年金資産額は2017年に4.8兆ドル増加。日本は世界の年金市場の中で第3位の 市場(7.4%)であり、最大の年金市場となっているのは引き続き米国(61.4%)、次いで英国(7.5%)
  • 日本は過去10年において、債券へのアロケーションが最も増えた国の一つ:オランダ(43%から50%へ)、日本(50%から56%へ)、英国(30%から35%へ)
  • 日本(96%)は、カナダ(95%)、オランダ(94%)、英国(81%)とともに、引き続きDB資産が圧倒的な割合を占める

 
プレスリリース / 東京】 2018年2月8日(木)-- シンキング・アヘッド・インスティチュートによる 『2018グローバル・ペンション・アセット・スタディー(英語)』の最新調査結果によると、主要22ヶ国における年金基金の総資産額は、2017年末で41.3兆ドルまでに増加し、1997年の調査開始以来最高の数字となりました。

2017年の増加額は4.8兆ドルと、過去20年で最大の年間増加額(米ドルベース)となり、年間増加率は13%を超えています。

本調査によると、年金基金の資産額は過去20年で年平均6.2%(米ドルベース)と着実に伸びており、同期間の世界の公開市場における株式と債券の収益率とほぼ等しくなっています。

ウイリス・タワーズワトソン インベストメント・コンテント部門のグローバルヘッドであるロジャー・アーウィンは、「短期的な数値がプラスとなっているのは、マーケットでのリターンが例年になく高くなっているためです。過去20年の動きを見ると、これは期待の持てる状況です。特に、GDPに占める年金資産の割合の改善と、年金基金におけるガバナンスの進化が結果として進捗しています。」と述べています。

過去20年の上位7か国における確定拠出型(DC)および確定給付型(DB)資産の相対的な成長率を見ると、本調査によればDB資産が年4.5%であるのに対し、DC資産は7.9%となっています。

「今やDC資産は世界上位7ヶ国における総年金資産の49%を占めています。DC資産は引き続きネット・キャッシュ・フローが黒字となり、DB資産に比べ給付金引出のレベルが比較的低くなっています。したがって、今後2年のうちにDC資産額はDB資産を超えるでしょう。DC資産が優位となる状況では、規制が負担となりDC制度が最適な結果を出せなくなることの無いよう、ガバナンスの問題とエンド・セーバーへのリスクのシフトをしっかり監視することが重要です。また、世界の年金基金が今後直面する課題のひとつが、高齢化の進む国々での給付金増加への対応です。現在、債務主導投資(LDI)戦略の利用が大幅に増加しています。加えて、これまでDBを中心としてきた国が、DC年金制度を採用する方向へシフトする兆候も見られます。」(ロジャー・アーウィン)

本調査によると、過去20年で株式のホームバイアスの低下が見られ、1998年の68.7%から2017年には41.1%に低下しています。過去10年では、国内株式へのアロケーションの比率は常に米国が最大であり、カナダ、スイス、英国が最低となっています。

「本調査の全実施期間に渡り、民間資産へのアロケーションが1997年のわずか4%から現在の約20%に急増していることから分かるように、リスクの管理と多様化は引き続きアセットオーナーにとって重要な焦点となっています。これらアセットクラスへの理解が高まるにつれ、従来の多様化の手法を超えるような戦略の高度化が進んできています。言うまでも無く、年金基金が直面する課題は複雑なものです。当社の調査によると、年金制度は複数の重要課題、つまり規制や利用可能な投資ユニバースの変化、新たな投資法や年金制度の進歩と成功の測定法といった問題を考慮し、対応する必要があります。更に、包括的な投資戦略の中では、ESGの真の統合、スチュワードシップとサステイナビリティといった問題も出てきています。基金の間では、サステイナビリティ問題への関心が高まっており、世界に与える影響への意識も高まっています。今後、フィデュシャリー・キャピタリズム(企業の経営に対して、年金基金などの機関投資家が発言力を持つ資本主義)のスタイルの変化は、世界の金融システムに安定化の影響を及ぼすと思われます。」(ロジャー・アーウィン)

その他の主な調査結果:

<< P22ヶ国における2017年の年金資産データ >>

  • 最大の年金市場となっているのは引き続き米国(61.4%)で、次いで英国(7.5%)、日本(7.4%)
  • 2017年末の年金資産総額の対GDP比率は67%
  • 年金資産の対GDP比が最も高いのは引き続きオランダ(194%)で、次いでオーストラリア(138%)、スイス(133%)
  • P22ヶ国の過去10年の年平均成長率(CAGR)は4.2%(米ドルベース)
  • 5年間の推定成長率(現地通貨ベース)は、最低がスペインの年2.0%、最高が中国の19.1%
  • 米国は引き続きP22ヶ国で最大の割合(61%)を占め、ブラジル、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、日本、オランダ、南アフリカ、スペイン、英国の割合は調査対象の他の国と比べて低下
  • 資産額の対GDP比の10年間の伸びが最も大きかったのはオランダ(68%から194%へ)、次いで英国(88%から121%へ)、カナダ(83%から108%へ)、米国(106%から131%へ)(現地通貨ベース)

<< P7ヶ国におけるアセット・アロケーション >>

  • 過去20年において、株式へのアロケーションはP7ヶ国全体で11%減少(57%から46%へ)
  • 同じく過去20年において、債券へのアロケーションはP7ヶ国で1997年の35%から2017年の27%に減少
  • ウイリス・タワーズワトソンが行った『グローバル・オルタナティブ・サーベイ』によると、2017年、オルタナティブ資産マネジャー上位100社の年金基金の運用資産額は、1兆6,120億米ドル
  • 過去10年において、債券へのアロケーションが最も増えたのは、オランダ(43%から50%へ)、日本(50%から56%へ)、英国(30%から35%へ)の3ヶ国

<< P7ヶ国における確定拠出年金(DC)および確定給付年金(DB)>>

  • 2017年、DB資産に対するDC資産の比率が最も高かったのは引き続きオーストラリアで、年金資産総額の87%がDC資産
  • DC資産が総年金資産に占める割合は、1997年の33%から、2017年には49%に増加
  • 日本(96%)、カナダ(95%)、オランダ(94%)、英国(81%)では、引き続きDB資産が圧倒的な割合を占める


注  釈:

  • P22ヶ国とは、本調査対象の世界の年金市場のうち、年金資産額の上位22ヶ国であるオーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フィンランド、フランス、ドイツ、香港、インド、アイルランド、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、南アフリカ、韓国、スペイン、スイス、英国、米国を指す
  • P7ヶ国とは、年金資産額の上位7か国(本調査対象国の総資産残高の91.7%を占める)であるオーストラリア、カナダ、日本、オランダ、スイス、英国、米国を指す
  • 数値は全て端数処理され、2017年の数字は推定値
  • 全ての日付は、当該暦年の最終日

  

シンキング・アヘッド・インスティチュートについて

シンキング・アヘッド・インスティチュートは、貯蓄者のためになるよう、投資界の変化に影響を及ぼすことを目的とした世界規模の非営利団体です。メンバーは、アセットオーナー、投資運用会社、および世界の貯蓄者のために業界に影響を及ぼそうとするその他グループで構成されており、ウイリス・タワーズワトソン・インベストメントのシンキング・アヘッド・グループが前身となっています。

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ウイリス・タワーズワトソン(NASDAQ:WLTW)は、企業に対するコンサルティング業務、保険のブローカー業務、各種ソリューションを提供する業務における、世界有数のグローバルカンパニーです。企業の持つリスクを成長の糧へと転じさせるべく、各国で支援を行っています。その歴史は1828年にまで遡り、現在は世界140以上の国と地域に40,000人の社員を擁しています。私達は、リスク管理、福利厚生、人材育成などの様々な分野で、企業の課題に必要な解決策を考案・提供し、企業の資本効率の改善や、組織と人材の一層の強化を図ります。また『人材』『資産』『事業構想』の密接な関係性を理解し、企業を業績向上へと導きます。ウイリス・タワーズワトソンは、お客様と共に企業の可能性を追求して参ります。

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