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サービス Service

クロスボーダーM&Aの保険ソリューション

本邦企業によるクロスボーダーM&Aの大部分はアウトバウンド(In-Out)ディールが占め、その顧客層や販路等の市場、あるいはその知的財産やノウハウ等の技術の取得を行うために外国企業の吸収合併が引き続き積極的に行われています。当社では本邦企業がクロスボーダー取引を行う際に直面する企業買収に係るリスクを保険の側面から総合的にアドバイスさせて頂きます。

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ここでは、買収取引の進行中(下表の3及び4)において適切な保険手配を行うことでM&Aに伴うレガシーリスクを軽減するケースを以下に紹介致します。買収取引の前後における買収対象企業の現行保険デューデリジェンスや統合(PMI)も(下表1,2,5,6)承っております。

図1:企業買収に係る保険マネジメントのステップ
# マネジメントポイント 対応方法
1 クロージング前後の賠償責任 保険デューデリジェンスによる対応
2 買収契約書上の保険関連条項
3 買収契約・取引に付随するリスク 表明保証保険、租税債務保険
4 環境汚染関連の潜在債務対策 環境汚染賠償責任保険
5 自然災害リスクに対する不十分な対策 M&A後の保険付保検討
6 保険リスクマネジメントの統合

表明保証条項(株式譲渡契約の場合)

買収取引進行中の各種デュ―デリジェンスでは、買収対象企業の全てを調査するのは不可能なため、売主は開示されずデューデリジェンスでも明らかでない偶発債務や簿外債務のない事を買収契約書中に表明保証し、不正確な表明保証に起因する買主の損害補償に同意します。但し、買収契約書に表明保証されていなければ損害賠償責任も発生しないので、売主或いは保険会社からの補償(表明保証保険付保の場合)いずれもありません。より一般的な買主用表明保証保険(注:売主も付保可)は、売主の売買契約書中の表明保証条項違反により買主が被る経済的損失を保険会社が填補する損害保険の一種です。

表明保証の範囲を限定したい売主
VS
網羅的な表明保証を要求する買主

この2つのギャップを埋めるのが表明保証保険の機能

表明保証保険 の手配については、引受審査に必要な資料を受領後、保険会社より概算見積り(Non-binding information)を通常1週間以内に手配致します。表明保証保険の活用をご検討頂けるM&A取引の例は以下の通りです。

  • 本邦企業によるクロスボーダー(アウトバウンド)取引
  • 外国企業への本邦企業の売却(インバウンド)取引
  • プライベートエクイティファンドや個人オーナーからの株式取得

注:上記いずれの場合も買収契約書が原則英語で用意されている事が前提となります。

租税債務保険

買収取引の進行中に、売主により開示された、あるいは買主のデューデリジェンスで指摘済みの既知のリスク(Known issue)については、売主による表明保証の対象外です。租税債務の様に表明補償困難でディールキラーとなりがちな潜在債務については以下のようなソリューションがありますが、いずれもモラルリスク(売主と買主双方の悪意)の程度が、引受審査の際に重要視されます。

  • 表明保証保険の内枠でカバー (注:買収契約書中の特別保証条項が要件)
  • 別途、租税債務保険を手配。(注:本邦での引き受けは限定的)

環境汚染賠償責任保険

租税債務同様、環境債務も買主のデューデリジェンスで指摘されれば表明保証の対象とならず、また、環境汚染に関する表明保証は仮に未知のリスクであっても、そもそも表明保証保険では免責となります。従い、買収時点でその汚染が既知であるか新規(注:買収後の汚染)に拘らず、売主と買主間で環境汚染に関するリスク認識にギャップがある際は、別途環境汚染賠償責任保険の概算見積りを遅くともクロージングまでに入手の上(注:製造業ではフェーズ2のオンサイト調査が要件)、そのコスト分担を予め売主・買主間で交渉する必要があります。特に環境規制の厳格な北米やEU圏内において環境負荷の高い事業を対象とする際は、過去と将来に亘る偶発・潜在的環境債務を補償する「環境汚染賠償責任保険」の事前検討が必須です。

環境負荷の高い事業では過去と将来に亘る環境債務を補償する保険の事前検討が必須。
環境汚染に関するリスク

オークションにおける表明保証保険活用トレンド

昨今の売り手市場の状況下、特に投資ファンドや創業者が売主のトランザクションに於いては、本来、買主が任意手配する買主用表明保証保険の概算見積りを売主が買主に提示し、買主による付保が入札の前提条件(“ステープル”)となるケースが、特にクロスボーダー案件に於いて増加傾向にあります(資料:  表明保証保険の「ステープル」とは? )。オークションの場合は買主落札後、保険会社との引受条件交渉が売主⇒買主に転換される事から、Sell-by-Flipと呼ばれる事もあります。但し、売主提示の概算見積りとフリップ後の最終保険条件は乖離するのが通常ですので、売主との交渉初期段階でステープルの、即ち売主リミテッドリコースの意図を正しく汲み取り、買主自ら能動的に保険活用の上、過度の売主レガシーリスクを回避しつつ最終入札に臨むことがより重要となります。当社はこの戦略的保険活用をアドバイスさせて頂きます。

最近の保険金請求(クレーム)傾向

表明保証保険の最大引き受け手であるAIGの最新レポートによれば、同社が2011~2016年の5年間に全世界で発行した表明保証保険約2,000件のうち、5件に1件の約400件に保険金支払い請求(クレーム)が発生し、その傾向は大規模トランザクションほど頻度が高いとの事です。そのクレーム内容には、北米案件ではコンプライアンスと財務報告関連が、欧州案件では租税債務関連が最も多いという地域特性が見られます。また、本年度の同社レポートには対象業種別の興味深いクレーム特性分析されております(⇒下記参照)。


製造業 ヘルスケア・医薬品 テクノロジー 金融サービス
財務諸表 17% 15% 12% 25%
租税 13% 20% 25% 4%
法令遵守 12% 31% 9% 13%
重要な契約 16% 7% 11% 23%
従業員関連 9% 4% 8% 12%
知的財産 5% 2% 19% 2%
事業関連 10% 6% 1% 6%
訴訟 7% 4% 6% 8%
本源的表明保証 2% 6% 8% 4%
環境 8% 6% 1% 4%

WTWのトランザクショナルリスクチームは、2016年に全世界で約300件の表明保証保険を含むM&A関連保険の手配をお手伝い致しました。当社では北米、欧州、アジアの主要都市及び東京に約100名の専門家を配備の上、本邦企業がグローバルで展開されるM&Aをグローバルでお手伝いさせて頂きます。

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