昨年の1月号のご挨拶は、このあと、次のように続きました。『2020年。何年後かに来る近未来として語られてきた2020年が、今、現実のものとなりました。オリンピックイヤーの今年、人、働き方、そして事業成長の舵をどう切るのかに加え、否応なくその先を考えることが、もはや展望ではなく次の一手に迫ってきていることを感じます。』2020年は、まさに1年前の今頃には想定もしなかった一年、コロナ禍による非日常な一年でした。同時に、コロナ禍という外圧は、私たちの働き方、職場、組織、上司・部下の関係性、組織内コミュニケーション、そして仕事の意義や処遇、そうしたものを否応なく見つめ直す機会をもたらしました。
本ニュースレターの2020年12月号においても触れさせていただきましたが、2020年に弊社が実施を支援させていただいた従業員エンゲージメント調査の結果は、2019年と比べ、スコアが跳ね上がった例が目立ちました。
日頃、認識しにくい自社事業の社会的な意義や、仕事を通じて社会や人々の生活に貢献しているという自負を再確認したり、業績悪化による解雇や一時帰休、処遇見直しといったニュースに対して、自分の会社では、雇用確保、安全と健康を最優先した柔軟な働き方が打ち出された、といった対比の中で、会社と社員、経営陣と社員の信頼関係が見直された、という例に日本においてもいくつも接しました。
そうした中で、スコアが伸び悩む、あるいは緩やかにスコアが低下している領域があることもまた、事実です。具体的には、スピード感、機敏さ、挑戦による失敗が許容される風土への認識、仕事と能力開発、仕事と仕事の成果に対する評価と処遇などに集中しています。
- リーダーによる迅速な意思決定
- 各組織階層への適切な権限移譲とそれに沿った意思決定
- リーダーの変化への適切な対応
- 革新的なアイデアが失敗に終わったとしても、不利益を被ることのない環境
- 業務の効率化を図るためのテクノロジーの活用
- パフォーマンスに見合った報酬
- パフォーマンスの向上につながるフィードバックの提供
将来の業績成長を牽引する、従業員の「持続可能なエンゲージメント」、その持続可能なエンゲージメントに大きな影響をもたらすEmployee Experienceでとらえ直してみると、PurposeとPeopleにおいては、非日常の高揚感がスコアに現れ、WorkとTotal Rewardsといった日々の現実にはその高揚感がおよんでいない、という見方ができる結果でもあります。
非日常が日常となる2021年。ドラスティックな環境変化の中で動いた従業員の感情や認識を前向きな着実な変化としていく上では、新しい環境下におけるWorkとRewardsの在り方、そして入社、配置、育成、評価、昇格といった従業員の企業における旅路(ジャーニー)において、従業員がどのような経験を持つのか、Purpose、People、Work、Total Rewardsという4要素において、企業はどのような経験を従業員にもたらしえるのか、が問われる年となる、と考えます。

Employee ExperienceはEmployee Journey、Employer Branding、そしてPeople Strategyの根幹をなすものとウイリス・タワーズワトソンは位置付けています。

Employee Experienceという視点は、企業が企業理念や中期経営計画、事業計画の実現に向けて設計・導入する多様な人材に関する施策の実効性を、その実施主体である従業員の目から自ら検証、監査するオーディットの枠組みであると考えます。
2021年、私どもTalent & Rewardsビジネスは、Talent領域はEmployee Experienceに、Rewards領域はWork and Rewardにフォーカスします。
2021年も皆様の人材と組織の成長と進化のパートナーでありつづけられますよう、努力と進化を続ける所存です。2021年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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