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特集、論稿、出版物 | ウイリス・タワーズワトソン人事コンサルティング ニュースレター

人事部の未来:エンパワーメントの連鎖を起こせ

経営・社員が担うこれからの役割とそれに報いる処遇の在り方〜強靭な組織の実現に向けて〜

Compensation Strategy & Design|Future of Work|Talent
COVID 19 Coronavirus

執筆者 森田 純夫 | 2020年12月7日

新型コロナウイルスの感染の長期化とともに、リモートワークが日本でも徐々に定着し始め、私たちに仕事の進め方や評価の在り方についての再考を促している。

仕事の在り方の見直しを迫る新型コロナウイルスの影響

リモート環境下では、より明確に仕事の目的や成果を定義しなければならないとして、職務記述書(Job Description)や目標管理制度の整備・改善を図る動きが多く見られる。さらに、職務を軸とした処遇体系である、いわゆる「ジョブ型」人事制度の導入が加速するものとみられる。

しかし、ジョブ型人事制度や目標管理制度の導入が、果たして解決策といえるのか。現場からすれば、ただでさえ忙しい中、職務記述書の作成などの「事務的」作業が上から降ってくるというありがた迷惑な話ともいえる。リモートワークという理由のみで制度を導入するのでは、大きな変化や負荷に対する社員の納得感は醸成されず、かえって士気と効率の低下が生じかねない。今回のコロナ禍での事象を受動的にではなく、経営的な観点から捉え、何をすべきかを考える必要がある。

では、今の経営に求められることは何か。多くの業界で市場環境やパラダイムが著しく変化している中、事業の在り方を現在の延長線上で考えることは、もはや難しい。あるべき事業ポートフォリオを考え、その下で各事業の成長を促進する経営体制・基盤を構築し、社員一丸となって前進するという一連の施策の実行が、今こそ必要となっている。それが大きな変更を伴うものであるほど、組織や社員の役割の再定義が不可避となり、これこそが人事基盤を再構築する意義となる。リモートワーク対応もこうした基盤整備の一環として位置づけられよう。

長らく低成長に甘んじてきた日本においては、企業価値の向上に向けた変革の必要性は広く認識されており、それがコーポレートガバナンス改革や昨今のジョブ型人事制度などの議論を呼び起こしてきた。今回の新型コロナウイルスの感染拡大が議論のスピードを一挙に速める劇薬となるかどうかが注目される。 

カギは「エンパワーメント」

ポストコロナという未知かつ変化の激しい時代においては、企業として変化にどれだけ機敏に対応できるかがカギを握る。そのためには経営者・従業員などの立場を問わず、変革の方針に沿って各々の役割を再定義した上で、どれだけ一人ひとりが判断し、迅速に行動できる体制を構築できるかが生産性に大きく影響する。どれだけ権限を現場に下ろすことができるか、いうなれば「エンパワーメント」こそが、現在の日本企業が取り組むべき課題である。折しも、デジタル化によって定型・単純業務は減少し、各社員の担う業務が高度化することが見込まれる。高度化は、現場における適切かつ迅速な判断を要求するとともに、エンパワーメントの必要性をさらに高めるといえよう。

エンパワーメントは、社員が自らの頭で考え、悩み、行動するという動きを促進し、仕事に対する関わりを、より主体的なものとすることで、生産性の向上や働きがいの実現といった好循環を生み出すことを目指すものである。単に権限を与えるということではなく、期待される役割に対してどのような成果が生み出されたのかを各人に厳しく問い、責任の所在を明確にすることでもある。このエンパワーメントの連鎖が、強靭な組織をつくり、中長期的な企業価値の向上を生み出す原動力となるのであり、役割の定義やジョブ型人事制度、目標管理制度は、この連鎖を生み出すことを狙いとして検討されるべきである。

以降、エンパワーメントの連鎖の実現に向けた改革を進めるに当たって、経営層/マネージャー/社員の担うべき役割や課題と、それを支える処遇制度や人事部門はどうあるべきかを論考したい。

  1. CEOをはじめとする経営層:あらゆるエンパワーメントの起点

    エンパワーメントを有効に機能させる上では、トップ自らがエンパワーメントを適切に実践しつつ、その連鎖が組織全体に波及するよう以下のような課題に取り組まなければならない。

    (1)エンパワーメントにおける基本的作法の徹底
    経営層は、現場でできる判断を配下の組織や人員に委ねることによって、重要な経営上の意思決定に集中しなければならない。実際のところ、細かな実務に日々忙殺されている経営者は多いのではないか。形式的な権限委譲にとどまることのないよう、部下に対して、任せた以上は具体的な実行方法については口出ししない、個別の失敗はある程度許容しつつ、一定期間の累積の成果で厳しく責任を問うといった原理原則に沿ったマネジメントを推進できるかがポイントになる。目標設定と評価については、経営層においてこれが適切に実行されることが、組織全体にエンパワーメントが波及する上での必要条件となることは言うまでもない。

    (2)社員の判断の基礎となる経営方針の浸透
    現場に判断を委ねるとき、その判断の軸となる経営の方向性や理念などを社員に浸透させることが一層重要になる。とりわけ、大きな変革の局面や現在のような先の見えない状況においては、中長期的な方向性と変革の意義を社員やステークホルダーに示し続けなければならない。その上で、方針の浸透度合いを検証することが重要であり、意識調査等を通じて現場や社員の状況を俯瞰的に把握し、必要に応じて全体方針もしくはその伝達方法の軌道修正を図ることが欠かせない。

    (3)多様な人材の活用を通じた、現場から経営へのフィードバックの促進
    各階層の権限の在り方の定義にとどまらず、これまでの組織で十分力を生かせていなかった人材に光を当て、その力を引き出すことも一つのエンパワーメントである。既得権の打破を伴うこうした改革は、経営トップ自らが主導しなければ実現できない。女性や若者、外国人、中途入社者などさまざまな属性の人材を幅広く活用するには、それらの人材のスキルの活用のみならず、風土を変えるという狙いもある。階層等に根差した硬直的な文化を組み換え、多様な見地に基づく闊達な議論がなされる組織へと変容させるのである。経営層は、このような風土の下で現場からもたらされる声に耳を傾け、経営方針を磨き、それを社員に語りかける。このような対話の繰り返しが、経営方針に対する社員の理解を高め、経営効率を高めることにつながる。

  2. マネージャー:エンパワーメントの効果を生み出す現場リーダー

    雇用や仕事の在り方、経営・事業環境が変わりつつある中で、マネージャー層が存分に力を発揮して現場を差配し、変化に対応できるかが課題となる。これに関連する人事面のエンパワーメント について問題を提起したい。

    現場のマネージャーにとって、率いるチームのメンバーの士気を高めつつ組織の目標を達成するには、相応の権限を与えられていることが、迅速かつ効率的な組織運営上欠かせない。日本企業がいま一度検討すべきは、「人」や「処遇」に関する権限がどうあるべきかという論点である。日本企業においては、通常マネージャーは評価権限こそあれ、実際に1 人ずつの昇給や賞与の支給額を決定する権限までは有しておらず、全社共通の人事制度の下で子細に定められたルールにより、さまざまな取り扱いが決まる。こうした仕組みは、マネージャーが、部下一人ひとりについて役割や成果、能力・スキルなどを認知しつつ、きめ細かく処遇を調整し、本人に納得感のあるメッセージを伝えることを難しいものとしている可能性がある(ここで論じているのは、処遇を決める権限を持たせることで、思いのままに部下を操らせるべきということではない。そうした考え方は、むしろ社員の主体性を尊重する動きを阻むおそれがある)。現場を最もよく知り、社員自身のことを最もよく見ている人が合理的な説明とともに評価することは、部下の納得感を高め、意欲喚起や人材のつなぎ留めにも好影響をもたらす。組織の求心力の強化にもつながるこうした状況を実現するためにも、部下の処遇の決定について、マネージャーにより大きな責任を持たせるべきである。

    日本企業において、日本で結果を残したマネージャーであっても海外赴任後に挫折するという事例が数多く見られる。この一つの要因は、人材・処遇面も含めて「チームに対する責任を持つ」という真のマネジメント経験を日本で十分持てないことではあるまいか。特に部下の報酬を決定し、納得がいくまで説明を尽くすという体験を持っていないと、グローバル組織の経営を担うリーダーは務まらないと言っても過言ではない。グローバル企業は、経営者の育成という観点からも、処遇決定に関するマネージャーへのエンパワーメントを真剣に検討すべきである。

  3. 社員:主体性を伴う役割の確立

    エンパワーメントは、社員の目から見れば、社員の「キャリア」や「仕事」における主体性を確保する試みである。主体性の拡大によって、働くことに対する喜びや自己実現に対する実感を得られることや、仕事における当事者意識を高め、より良い成果を生み出すという好循環が期待できよう。

    社員は、自らのキャリアに対する意識を高めるとともに、一つひとつの仕事が会社と自分にどのような意味をもたらすのかを常日頃から考えなければならない。上司に対して、どのようなキャリアを積み重ねていきたいか、そのためにどのような仕事をしていきたいかを、自ら積極的に説明することが求められる。

    さらに、「自身へのエンパワーメント」として自らの役割と責任を明確にすることは、会社に対して自分が何を貢献しなければいけないのかを社員が常に意識することにつながる。「なぜ、この業務が必要なのか」といった思考を重ねることで、仕事の効率化や無駄な仕事の排除のきっかけにもなる。

エンパワーメントがもたらすこれからの処遇の在り方

ここまで述べてきたようなエンパワーメントを徹底させようとすると、処遇制度の在り方は大きく変わる。特に、本社人事がすべての社員に適用する仕組みを詳細につくり込む形から、共通の枠組みは持ちつつも、ある程度、現場にその運用を委ねる形へと変化する。この時、長期雇用を前提とし、一貫性・公平性を重視して全社共通ルールが詳細に定められた従来の「モデル」に根差した仕組みよりも、現場での「カスタマイズ」を前提としたシンプルな仕組みのほうが機能しやすい。上司であるマネージャーは、自身の関与が部下の意欲やキャリア、つなぎ留めに大きく影響するという理解の下、慎重かつ真剣に目標設定や評価、処遇の決定に臨むことになる。このような仕組みがもたらす変化はどのようなものか。

  1. 個人の持つスキルに応じた報酬水準
     現場の裁量を重視する仕組みにおいては、一定の枠組みや制約はあれ、個人の状況に応じて処遇が調整され、例えば年齢や勤続年数にとらわれずに報酬水準を定めることになる。A I などのデジタルスキルに対してプレミアムを乗せるという動きは、海外ではもちろん、既に日本においても外資系企業や金融業界を中心に見られる。高度なスキルを持つ社員を厚遇する仕組みを整える日本企業も現れており、ウイリス・タワーズワトソンの報酬サーベイのデータを見ても、過去には考えられなかった差が生じているのが実態である。このような動きは、リモートワークが進み、地域を越えて人材が採用され、人材の獲得競争がより激しくなると、さらに加速するだろう。日本企業は現状、特に報酬が高騰しているデジタル人材の獲得において、日本国内の人材も含め海外勢に後れを取っている。海外勢は、スキルを有する優秀な人材とあらば、ROI /費用対効果という観点から柔軟かつ大胆にオファーする。日本企業もこうした発想で臨まないと、獲得はおろか海外企業や日本の積極的な他企業への人材の流出を止めることすらできない。

  2. 長期雇用を前提とした処遇の変化

    会社と社員との間において、雇用について相互に選択する/選択されるという緊張感ある関係を実現する上では、長期雇用の保障という、相互依存や年功序列につながりかねない仕組みの意義は薄れていく。

    処遇としては、長期インセンティブが付与される経営幹部を除いては、短期的な清算を前提とした仕組みを中心として構成するのが基本である。退職給付はその典型であり、長期勤続に対してインセンティブを与える仕組みよりも、毎年の貢献等に応じて積立額を定めるキャッシュバランスや毎期定額を拠出する確定拠出年金のほうが活用しやすく、財務的な負担軽減という目的と相まって今後も一層普及するだろう。

    さらには、福利厚生制度についても変化が求められる。福利厚生制度は、あるべき企業文化、生産性の向上、人材のつなぎ留めなど変革の方針に沿った目的志向なものでなければならない。社員の持続的なエンゲージメントを実現するには、身体面のみならず、精神的側面・経済的側面、社会的側面を合わせた統合的なウェルビーイング(Wellbeing)の視点が欠かせない。リモートワークが急速に普及し、「社員と家族」「社員と会社」の関係性が大きく変化する中で、統合的なウェルビーイングが今後さらに重要になるだろう。

  3. キャリアにおける自己決定権の拡大と勤務条件の変化

    キャリアや仕事における社員の関与がより主体的なものになるにつれ、報酬のみならず、勤務地や職務内容などの基本的な勤務条件についても、会社都合で決める在り方が見直されてしかるべきである。例えば、勤務地については、これまでは転勤を受け入れる社員が「正規社員」であり、転勤しない社員は「地域限定社員」として処遇を減額する運用が一般的だった。今後はこうした取り扱いを変え、転勤に際しては本人の同意を条件とする企業も増えるだろう。社員にとっては、キャリアと自身の生活の両面から人生の計画を立てることが可能となる。企業としては、従来同様に多くの社員に転勤を強いるモデルを維持するか、各地域の人材の一層の活用を模索するか、はたまたリモートワークの活用も踏まえて地域展開そのものを見直すかなど、さまざまな選択肢が想定されるが、新型コロナウイルスの感染拡大はその判断を一気に前倒しする効果をもたらすに違いない。

    職務内容についても、幅広い業務をこなすゼネラリスト中心のキャリアモデルの一律適用がもはや難しくなってきていることは、そのようなモデルの下に長年のキャリアを積み重ねた中高年社員の活用に悩んでいる企業が多いことからも明らかである。今後は、どの領域でスキルを積むのかについて本人と上司が対話し、会社にどのような場で貢献するのかを本人が選択することになる。転勤等における本人同意の仕組みの整備と併せ、公募(ジョブポスティング)の仕組みの整備も不可欠となろう。会社としては、とりわけ長期雇用を奨励するのであれば、各社員に専門スキルの学習や蓄積を意識させるとともに、リカレント教育なども含め、社員が新たなスキルを習得できる場を設けるといった施策を講じることも課題となる。

エンパワーメントに伴うCHRO/CPOの新たな役割

デジタル化の進展に伴い、人間が担う単純作業は一層減少することが見込まれ、社員には、イノベーションの創出や効率化の実現など、より高度な業務にフォーカスすることが求められる。こうした業務は、誰が実行するかによって結果が大きく変わるものであり、言い換えれば、どのような人材を擁するかによって企業の成長が左右される。人材の確保を担う人事部門の責任は重大であり、その役割は以前よりも事業戦略に密接に絡んだものとなることが求められる。その意味からは、人事部門自体に変革が求められているといえ、それをリードする人事トップ(Chief HR Officer:CHROやChief People Officer:CPO)の人選が重要となる。CHRO/CPOの役割は、変革の実行に向けて経営の最重要事項である人材についてあらゆる側面からCEO(Chief Executive Officer)を補佐することであり、必要とする人材の採用、優秀人材のつなぎ留め、上司と部下の良好かつ建設的な関係の維持、組織風土の醸成など、その支援は広範にわたる。これらの課題を経営的な視点から捉え、施策を立案できる稀有な人材をCHRO/CPOとして確保できるかによって、企業のパフォーマンスは大きく変わってくるだろう。以下は、エンパワーメントの実践に当たって、CHRO/CPOが取り組むべきテーマの一例である。

  1. 全社的な人事の実態把握
    エンパワーメントの進展の中でCEOの経営判断の精度を高める上では、現場との接点をいかに確保し、自社の組織の実態をどれだけ正確に把握できるかが課題となる。CHRO/CPOには、以下のような観点や項目についてCEOに共有し、対応策を提案できるようにしておかなければならない。

    • 社員のエンゲージメントを測る意識調査
    • ダイバーシティの観点も織り交ぜた人員構成の現在の状況
    • 事業戦略の実行に向けて必要となる人材の充足・流出の状況
    • 優秀な人材を確保するための処遇体系の運用状況

    最近は、これらの項目を経営層の非財務評価の指標の一つとして、取り組みやその進捗を評価する動きも見られる。取締役会や指名・報酬委員会とともに、こうした施策の実行を支えるのもCHRO/CPOの役割である。

  2. エンパワーメント推進のための具体的アクション
    エンパワーメントの推進に当たり、目標管理や評価制度の整備が重要であることは言うまでもないが、それだけでは不十分である。権限を有する立場からの自発的なエンパワーメント推進はなかなか期待しにくく、現場に任せるだけでは進まない。CHRO/CPOには、以下のような形で、エンパワーメントを伴う登用の実行と、エンパワーメントが推進される土壌を整備し、エンパワーメントの実効性を高めることが期待される。

    (1)若手・女性・外国人の登用・抜擢
    日本企業では、マネージャーや経営層のポジションに就く時点が海外企業に比べて10年単位で遅い。特に、優秀な人材がさまざまなことを吸収できる20代後半〜30代にマネジメントの経験を十分積めない状況が機会損失を生み出している。これからの変革の時代には、しがらみの薄い、若い経営者が求められよう。女性や外国人の活用も同様に重要である。現場の自主運用に任せるだけではなかなか進まないことが想定されることから、一定の目標を決めて、半ば強制的にでも登用を促したり、現場に入り込んで抜擢に関する具体的な提言をしたりするといった取り組みが検討されるべきである。しがらみにとらわれない社外取締役の関与を得ることも効果的であろう。

    (2)新陳代謝の仕組みの確立
    若手・女性・外国人を活用しようとしても、ベテラン男性社員が枢要ポジションを占めることにより登用が妨げられることがある。こうした状況を回避するために、次代の担い手にポジションを譲る仕組みが必要となる。管理監督を行うマネージャーの次のキャリア機会として、高度な専門性を生かして業務に当たる非マネージャーポジション(Individual Contributor)の処遇体系の整備は必須である(この処遇体系は、マネージャー職を離れる人の行き着く先として処遇保障の一環として策定されるものではなく、高度な専門性を基にマネージャーと同等の貢献が期待される人材に対して、その高い貢献に正当に報いるために整備されるものでなければならない。マネージャーから非マネージャーへの転身は役割の変更にすぎず、キャリアを「下降する」という印象を払拭することも重要である)。さらに、早期退職や役職定年の仕組みのみならず、上級職についてはセベランス・ペイ(解雇手当)の導入も論点となり得る。

最後に

コロナ禍の長期化とともに、「ジョブ型」などの人事制度を検討する企業の数は明らかに増加傾向にあるが、その本気度には企業による差が見られる。変わらなければならないという強い危機感や信念を持つ会社と、世の中の働き方改革に同調しようとする会社とに二分されるという印象は否めない。

ジョブ型人事制度の導入や、誰かの力や権限を「譲らせる」ことになるエンパワーメントの促進など、大きな改革を目指すのであれば、既得権を持つ人たちからの大きな抵抗が想定される。変革の貫徹に向けて、社員にその意義を繰り返し強く説かなければならないが、他方、当たり障りのない改革にとどまるのであれば、その試みは徒労に終わる。また、おそらくこの変動期に何もしないという選択肢はないのであろう。いずれにせよ、企業の経営トップやCHRO/CPOは今、覚悟が問われる岐路に立たされているといえる。


*本稿は「労政時報」第4002号(20.10.23)[労務行政刊]への寄稿『人事部の未来:エンパワーメントの連鎖を起こせ』からの抜粋です。

執筆者プロフィール

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