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Transform to Perform(変革実行とその先へ):効果的なコミュニケーションで従業員エンゲージメントを促進する

Future of Work|Talent|Wellbeing
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執筆者 Emma Longmore 小林 明 マリー | 2021年5月11日

高業績企業のエンプロイー・エクスペリエンス(High Performance Employee Experience – HPEX)を実現するためには、必須項目(Essentials)、強調項目(Emphasis)、卓越項目(Excellence)という3つのレベルの存在を理解し、施策に落とし込む必要がある。その際に組織には、自社の従業員体験における強みと改善課題の特定、それに応じたコミュニケーションが求められる。

コミュニケーションは、従業員との関係を支える大切な結節点である。エンプロイー・エクスペリエンス(従業員体験 – 通称EX)のコンセプトを正しく理解することで、従業員との信頼関係を築き、意思決定を促し、組織にとって意義のある変化をもたらすことができる。

会社の業績成長とHPEXとの間には強い関連性があることがウイリス・タワーズワトソンの調査によって判明している。コミュニケーションの観点からHPEXが達成されている状態を考えると、従業員が自身の発言力を持つ場を与えられ、そのために必要なツールやリソースが提供され、会社にとって貴重な存在であるという認知や自覚が内面化されている状態のことを示す。

必須項目(Essentials)

従業員コミュニケーションにおける必須項目(Essentials)は、福利厚生の仕組み、従業員の行動指針、必要な情報やサポートの取得場所や方法などが、きちんと説明・明示されている状態のことを指す。

ガイドブック、社内報、ニュースレター、イントラネットなどのチャネルの活用が、必須項目に関わるコミュニケーションの例として挙げられる。これらは伝統的な従業員コミュニケーションのツールだが、今後も重要なアプローチの一つとなることが予想される。

必須項目(Essentials)を達成するには、従業員の理解を促進する組織からの配信型のコミュニケーションを通して、すべての従業員に共通のメッセージが発信されることが求められる。メッセージの内容も、会社の報酬や福利厚生の仕組み、従業員の行動指針など、全従業員が共通の理解を持つべき基本となる事柄が重視される。

この領域において高業績企業は、ステークホルダー、メッセージ、タイミングなどを考慮したコミュニケーション戦略を有している。これにより、毎年、重要かつ基本的な事柄についてのコミュニケーションプログラムのロードマップが描かれている。

強調項目(Emphasis)

強調項目(Emphasis)においては、より組織と従業員間のつながりを構築することにフォーカスし、従業員の過去の行動、個々人の人事データから得られる情報と分析に基づきコミュニケーション施策を練ることが重視される。そのために、複数のコミュニケーションチャネルを活用し、組織と社員との双方向のコミュニケーションおよび情報のやり取りを推進することが主軸となる。

強調項目(Emphasis)におけるコミュニケーションのアプローチとしては、今後の変化についての全体像、会社のプログラムなどの全社共通の情報のみならず、従業員セグメントごとにカスタマイズされた情報を見られる社内サイト(ウイリス・タワーズワトソンではEmbarkというサイトをご提供している)、受け手によって内容がカスタマイズされるメールなどが活用される。同時に、社内事例の収集、社員からの意見の吸い上げやデータ化が重要となる。

基礎的な情報の正しい理解とアップデートを促すことが必須項目(Essentials)におけるコミュニケーションの目的であるのに対して、強調項目(Emphasis)においては、従業員の声、データから得られる考察をベースとしてメッセージを構築し、個々人の行動変容を促すことが重要となる。

例えば、図1の「受容(Inclusion)」においては、コミュニケーションの設計において、同じ人事の制度やプログラムであっても、どうすれば従業員の異なる理解度やニーズに沿った支援ができるかを考えるべきである。それによって、より多くの従業員に理解・評価され、また従業員個々人にとって価値のあるメッセージを伝えることができる。

卓越項目(Excellence)

卓越項目(Excellence)では、より従業員と一体化したアプローチでエンプロイー・エクスペリエンスを促進することに力点が置かれる。そのために、従業員に参加・参画してもらい、従業員の声を傾聴し、それに対応することが基本となる。このレベルにおいては、デジタル技術を活用することで、幅広い領域において、個人にあわせてカスタマイズされたエンプロイー・エクスペリエンスを実現する。

卓越項目(Excellence)におけるコミュニケーションのチャネルとしては、モバイルアプリ、SNS、個人別のアドバイスやステートメントなどを含む個人のニーズに合致したコンテンツのカスタマイズができるオンラインプラットフォームなどが挙げられる。

ここでのコミュニケーションは、個々人にとっての組織、仕事、そこで働く価値、受け取る対価の考え方(Value Proposition)に沿って設計される。これらは、パーソナライズされたデジタルでの体験を通じて、変化への刺激を与え、これまでとは異なるアクションを取ることの促進を目的とし、場合によってはインフルエンサー的な社員にアンバサダーの役割を担ってもらいながら提供される。

なお、図1の「成長(Growth)」を例にとると、社員のキャリアステージや向上心に沿って、オンラインプラットフォームをツールとして用いて社員の意思決定を支援し、アクティブシンキング(積極的な思考)や行動変容を促すことで、社員をエンゲージすることなどが考えられる。

HPEXを実現するための効果的なコミュニケーションは、必須項目(Essentials)から強調項目(Emphasis)、卓越項目(Excellence)という順番で行うとは限らない。ウイリス・タワーズワトソンのHPEXモデルは12個の項目別にモジュール化されており、必須項目(Essentials)についてはしっかりと基礎情報を提供しつつ、自社の課題にあわせて、強調項目(Emphasis)や卓越項目(Excellence)の項目に注視することを推奨する。

日本におけるコミュニケーション

コロナ禍でテレワークが長期化するという今までにない環境下において、従業員のエンゲージメントはより重要な課題となっている。そこで従業員のエンゲージメントを高めるためには、様々なコミュニケーション戦略を活用するべきだ。必須項目(Essentials)はもちろん、企業状況によって強調項目(Emphasis)や卓越項目(Excellence)を取り入れ、従業員の声を聴き、向上心を刺激することでエンプロイー・エクスペリエンスを高め、それが従業員の会社に対するコミットメントや愛着を生み出し、会社のパフォーマンスを上げていくことが可能になると予測される。その第一歩として、現在の従業員とのコミュニケーションは十分なのか、必須項目(Essentials)、強調項目(Emphasis)、卓越項目(Excellence)それぞれにおいてどのようになっているのか、また従業員のエンゲージメントレベルはどうなっているのかを、ファクトベースで把握することが最初のステップであると考えられる。

執筆者プロフィール

Head of Communication, Australia

リードアソシエイト
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