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新型コロナウイルスCOVID-19 ロックダウンからの再開時における事故、教訓およびその対応

Risk & Analytics
COVID 19 Coronavirus

執筆者 三木 健一郎 | 2020年6月16日

新型コロナウイルスの影響が長期化する中、コロナと共存する、いわゆる「ウィズコロナ」の時期に入り、各国におけるロックダウン(都市封鎖)も徐々に解除され、経済や暮らしの回復に向けて操業が再開されつつあります。そのようなロックダウンからの再開時に、アジア最大の感染国となっているインドにおいて、大規模事故が発生しました。

事故の概要

インド東部アンドラ・プラデシュ州の「韓国LGポリマーズ」の化学工場で、5月7日午前3時ごろ、5,000トンのタンク2基からガスが漏えいしました。少なくとも現在までに13人が死亡、800人近くが体調不良により病院に運ばれ、また工場の半径5㎞以内の約4,000人が避難を余儀なくされました。

同工場は、新型コロナウイルス対策のロックダウンによって無人となっており、インドにおいて新型コロナウイルス対策のロックダウンを開始した3月24日から閉鎖され、この時期に操業再開する場面で発生しました。同州の環境汚染規制当局はBBCに対して、漏れたのはスチレン(合成樹脂)で、通常は冷凍されていたとコメントしています。

事故の原因

事故原因は未だに調査段階にありますが、ロックダウンからの解除に備えた運転再開の準備過程でガス漏洩が発生しました。同工場では、保管されている各種材料の特性(可燃性、沸点、引火点など)に応じて、化学物質の温度と圧力のパラメーターを厳密に監視する必要があり、ロックダウン中、熟練した労働者のみがメンテナンス監視する必要がありました。しかしながら、事故当時は正規または契約社員を含む要員不足のため、このパラメーターを維持できなかった可能性があり、更に、必要とされていた24時間体制での監視がされていなかったという報道もされています。

LGポリマーズによると、工場はロックダウンを受け操業を停止していたが、保守点検作業員は常駐しており、事故当時は夜間シフトの作業員がガス漏れを発見したとコメントしています。現時点では、その際、タンク内で、何らかの理由で発熱反応が発生し、そのためスチレン蒸気が漏出したのではと想定されています。

尚、事故発生当時、工場の近くに住む従業員が、工場を再開するため現地当局からの許可を得なければならなかったものの、結果として当局からの許可を求めなかったか、或いは許可を得ていなかった可能性もあること、また、異常検知アラーム設備はなく、工場は操業再開に当たって適切な作業標準(SOP)を守らず作業を行ったこと、またタンクの冷却系統が機能しなかったとの報道もあり、今後更に調査の結果が待たれます。

ロックダウン再開前後の安全対策

今後、各国ごとにロックダウンからの緩和、解除の動きが個別に進む、或いは感染度合いによってはロックダウンの再開となる可能性もあります。それぞれの段階において、各製造拠点においては、従来の安全確認手順をより注意深く検証し、見直しする必要があります。今回のようなインシデントを回避するには、以下をお勧めします。

  1. 休業・閉鎖の前に
    運転中の施設を停止・移転させるか、または生産設備を据え置いたまま休業とするか、いずれの場合おいても、甚大な損害がその期間内に発生する事を回避するためには、プランを十分に検討し実行することが重要です。
  2. 休業・閉鎖の期間中
    週1回の休業事業所チェックを通じて、消防設備の検査、防災パトロール、警備、整理整頓を含めた適切な管理プログラムを維持することが重要です。
  3. 再始動時(休業・閉鎖の解除後)
    再始動が通知されたら、建物と全ての機械設備を安全に始動するための適切な計画と手順を作成することをお勧めします。 始動プロセスを急かさず手順を守りましょう。ユーティリティやプロセスの再始動には、資格のある人だけを担当させるようにしましょう。

なお、詳細は「一時的に遊休状態の 建物・工場・建設現場の保全~休業中の施設や建設現場のリスク管理について」(PDF)をご参照ください。

執筆者プロフィール

Regional Director, Head of Japan Desk Asia
Corporate Risk and Broking

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